京浜工業地帯の海
すごく変なところに行ってきました。
京浜工業地帯の海に入ってきたのです。
京浜工業地帯の海っていうのは、「東京湾岸ってだいたい倉庫か工場で入れないけど、どこかにぼくたち子どもが入り込んで遊べるような秘密の場所も、見つかるんじゃないかな」っていう発想から探しあてられて、勝手に名付けられた場所なのだけど、年に一度、そのどぶのような京浜工業地帯の海で泳ごう!というのがあって、そこに参加してきたのです。
詳しくどことは書けないけれど、倉庫街に、エアポケットみたいに空き地があってササの葉がおおい茂っている場所があるんだけど、そこを入っていくとホームレスの家が建っていて、さらにそこを抜けていくと、目的地なのです。
海とは言っても、運河の終点というか、入り口なので、干潮のときだけ、岩場と砂場が顔を出す、海とは言えない場所でした。斜め上には、次の埋め立て地へ抜けていく橋がかかっていて、たもとがその海なので、さらにただの川みたいだなあとも思ったけど、とにかく、潮がひいた時だけ海らしくなるので、潮干狩りみたいに、その時を狙って、子どもたちは海に入って、遊んだのです。
古タイヤとか、割れたガラスとか、洗剤の入れ物とか、ゴミだらけだったけど、石を裏返してみるとカニややどかりがたくさんいて、カニ採り合戦もしました。水はやっぱり濁っていたけど、泳いでしまえば楽しいみたいで、子どもたちは、どこかの海水浴場にいるみたいに、シンクロナイズドスイミングのまねをしたりしてはしゃいでいました。もう何キロか先は羽田なので、近く低くに飛行機が飛んでいて「あ、JALだ」とか「スカイエアラインだ」とか言っていたよ。
京浜工業地帯の海を知ってから、ただただその海に行ってみたい!と思っていたので、京浜工業地帯の泥のような海を見ることができてほんとうに満足でした。娘は、波をちょっと怖がっていたけど、反面興味も示していました。だれかが「これが海だと思っちゃったらちょっとかわいそうね」と言ったので、そうだなあと思いました。
家に帰って地図を広げてよく見てみると、すぐ先は、もう埋め立て地もない東京湾が広がっていて、東海汽船の航路も記されていました。ほんとに、太平洋に続いていくんだな。
京浜工業地帯の海。娘が大きくなったら見せてやりたい、宝の海です。


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