仕事はまたあるさ
生まれ変わって、もう一度職業を選ぶとしたら、やっぱり元の仕事かなと思うくらい、その仕事好きだったから、会社なかなか辞められなくて、短時間勤務制度を申請して、9時30分~17時で働くことにした。
結局定時にあがれなくて、何度も上司に定時であがれるようにとお願いしたのに深夜までの残業が続いたりしたから、もうダメだと辞表を出したんだけど、まだ心残りがあって、最後の悪あがきもした。労組を通して部長と面接させてもらったんだ。
どうせ辞めてしまうんだからと、聞きたかったことを聞いてみた。
まず、「保育園に入って友達になったお母さんたち、多くがほんとに残業なく帰れているのに、うちの会社だけ、そうした基本的な約束がかなわないのはどうして?」と聞いたよ。部長は「あなたの仕事は一人で一案件を抱えるし、残業という概念もない特別な世界だ。この習慣を変えるのはむつかしい」と答えた。
「だから他部署への異動を希望していた。なのに直前に取り消しになった。その代わり次の異動まで勤務時間を守ると約束してくれた。ところがなし崩しになった。それはどうして?」「緊急事態だ。人が足りない。病気になったのもいる。子持ちより病気を優先したい」と部長。
「緊急事態なら、派遣の人を雇ってサポート体制を厚くするくらいはして欲しかった」「予算がない。前例もない」。…とまあこんな感じ。らちがあかない感じがした。
ま、辞表を出した後にこんな質問、部長もさぞ困ったことだろう。「今さら蒸し返してどういうつもりか?」と聞いてきた。そりゃそうだ。だから「どこに出そうとかいうことではない。定時で帰るのが極端だとするならば、どのあたりがいわば手打ちだったのか、それが知りたい」と素直に答えたよ。
そしたら部長は、「他の人とそこそこ同じように、仕事をし続けて欲しい。わたしの妻は専業主婦だが、そうした家庭に比べてみれば、共働きの収入は2倍だ。その分でベビーシッターを雇うくらいのことをしてもらわないと、困る」と本音を教えてくれた。
ハードルが高かったなーと思う。わたしには、とても越えられなかった。
たくさんの人が、くじけずに頑張れと応援してくれていたから、ちょっと残念な気もした。
何度も何度も相談してきた、保育園の園長先生にも報告した。「そっかー、ご苦労さまー。残念だけどね、あなたの会社、男社会だからね。もうね、ムリよー」とか明るく言っていた。そうして「仕事は、またあるよー」って言ってくれたんだ。
「仕事はまたあるさ」。辞める前は、そんな前向きな気持ち全然なれなかったけど、辞めて、そりゃ今までみたいな条件はムリだけど、また好きな仕事、いつかみつかるような気がなんとなくするんだ。世の中広いっていうか。ま、希望的観測ではあるんですけれども。


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