増税時代と専業主婦
昨日、政府税制調査会の報告書が発表になった。配偶者控除を廃止するという。石会長がテレビで、「年金・医療・介護の財源確保が主目的。少子高齢化社会において、サラリーマンにがんばってもらうしかない」というようなことを話していた。暗い話だなあと思う。
育休明けて職場に復帰して、年金をはじめとする社会保障と税制について扱ってきた。ほんとに社会保障費、大変なことになっている。厚労省試算によれば、今80兆かかっているんだけど、20年後の2025年には、2倍以上の176兆円かかる見込みだ。団塊の世代の人たちが、保障の受け手に回るからだ。保障の受け手にも痛みを分かち合ってもらわねばならぬと、去年もめにもめた年金国会をはじめ、制度の改革も進められているわけだが、それでも社会保障費が足りない。社会保障費の3分の1くらいは税金から捻出されているが、税源も今4割が国債に頼っているわけで、こちらも足りない。あっちもこっちも足りないのだ。
で、白羽の矢が立ったひとつが、専業主婦だ。今回は税制上の、配偶者に対する控除を撤廃してはどうかという提言だ。去年の年金改正論議では、国民年金の第3号被保険者制度も議論された。その時は、専業主婦は保険料を払わなくてずるい、という投書をたくさんいただいたものだ。
そんなに専業主婦はずるい存在かなあと思う。今、社会保障費は70%が高齢者関係のものだ。児童・家庭関係の比重は3.8%しかない。ならば所得税より消費税の税率をあげるのが先じゃないかと言いたくもなる。また、今年60歳の人が支払う厚生年金保険料は40年間で1100万円、トータルの年金給付額は5100万円で、保険料の4.6倍の年金が受け取れる。しかし今年20歳の人は保険料の2.3倍の年金しか受け取れない。この世代間格差をもっと縮めることが先ではないか、と、またぐちぐち言いたくなる。
専業主婦より働く女性の生む子どもの数のほうが有意に高いというデータもある。これは90年代、仕事と子育て両立支援に力を入れてきたひとつの成果だけれども、逆に専業主婦の出生率は上がっていない。それなのに、経済的負担を専業主婦世帯にさらにかけていいのか?とも思う。
でもとにかく、女性も働くことを前提とした制度に切り替わろうとしているのだ。
こんな時代に、うちは専業主婦を抱えてやっていけるんだろうか?やっていけないかもしれないなあと思う。不安要因がまだある。例えば、こうした試算は出生率が1.39になることを前提にしているけれども、今は1.29だ。このままだと、もっと一人当たりの負担が増す。また、産業再生機構の専務、冨山和彦さんは「終身雇用、年功序列の崩壊はむしろこれからが本番」と言っていた。この発言は、ほんとうだろうか?
復帰してから会社を辞めるまで、毎日毎日こんなことばかり調べていた。客観的に見れば、共働きをしてリスクを軽減したほうがいいと痛感していた。でも、そのために子どもを置き去りにしては本末転倒だなあとも思っていた。
税調の答申では、専業主婦の控除の替わりに、子育て支援という形で税制上の優遇措置を設けるとしている。少し、ほっとする。
個人的には、再雇用制度が制度化されればいいと思う。来年度から高齢者を再雇用したりして、定年を延長する制度が始まるが、それに似たものができればいい。子育てが一段落したら、給料は低くてもいいから、定時で帰れて、少しはこれまでのノウハウを生かせられるような仕事に、もう一度就く。例えば、育休社員の補填要員として働く。仕事を辞めたわたしにとっては理想である。そうした安心があれば、安心して子育てに打ち込める。けれども実際は、再雇用制度を設けても、その利用者は少ないらしい。専業主婦の子育て支援のありかたは、意外とむつかしいのかもしれない。
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Comments
おひまだこさん、こんにちは!
とても面白い、勉強になる、そしていろいろ考えたいと思うきっかけになる記事をありがとう! コメント長くなるかも~!
3号被扶養者については、ずるいとまでは思わなかったけれど、漠然と、いいなぁと感じていた時期がありました。(いいなぁ=うらやましい、ではなかったけど) それから、パート的仕事をしている人や在宅ワーカー仲間が「そこまで一生懸命になる??」と思ってしまうくらい“働きすぎ”にならないよう気をつけていたことにも、若干の違和感を感じていました。いや、今ではその気持ちがよくわかるんですけどね・・・
そんな自分こそ、仕事をするにあたり、税金をおさめるにあたり、「損をしない」ことだけを考えてやってきたと思います。結婚当時、夫がまだ学生だったこともあり、配偶者控除も扶養控除もいいように使ってきたし・・・。(そういう考えでいるから、自分の収入が減ってきたとき娘の扶養控除のことをうっかり忘れて、再申請をすることになったりして。それさえも、年金全額免除を受けるための努力。児童手当にもしっかりお世話になり、たった今何をしているかというと、幼稚園の保育料減免の書類をそろえようとしているわけで・・・) まあ、それが可能な低所得世帯であるというだけの話かもしれませんが。(^^;
>女性も働くことを前提とした制度に切り替わろうとしているのだ。
私(現在40才)たちの少し前の世代・・・10~20才くらい上・・・の女性たちの場合、豊かな時代ゆえの「働く難しさ」があったと聞いています。母親が働くことは、家庭の経済的事情ではなく、その女性の自己実現のためというか、自立のためというか、そんなふうに捉えられていた。だから、3才児神話というものがあれだけ広まった・・・(のかな?)
でもいまは、働かざるを得なくて働きに出ている人も増えている。以前、関わっていた会社の在宅ワーカーさんの中にも、そういう人たちがいました。出社日には、その日1日分の給料を超える料金を出してベビーシッターをやとって。(そういう主婦の足元を見て大もうけしている会社だった。それがわかって辞めた。そして会社は潰れた。)
そんな時代に、専業主婦でいられるのならば、白羽の矢を立ててもよかろう・・・と思ったかどうかはわかりませんが、とにかく、
>女性も働くことを前提とした制度に切り替わろうとしているのだ。
のでしょう。働きたいのなら、働けるのなら、存分に働きなさい、ってことか?
それにしても、税制や社会保障の今について考えていると、その歴史について考えたくなります。たとえば、何ゆえ「配偶者控除」というものがあるのか・・・とか。(「あったのか」と過去形になってしまうのだろうか?)
あと、少子化のことについては、自分も(1人しか産んでいないから)当事者でありながら、時々、不思議にはなります。なぜ、ここまで出生率が落ち込んでしまったのだろうか? なぜ、専業主婦の出生率が上がらないのだろうか? そして、出産というきわめて家庭的・個人的な問題と少子高齢化社会がもたらす危機的状況という国家の問題とが、それぞれの人の中でどこでどう接点をもつのか・・・ 私は2人目がずっとほしいと思っているけれど、それは日本のためではないわけで。(笑)
最後の2行のことについては、いずれ、自分のブログで書きたいと思っています。
あ、やっぱり長くなっちゃった・・・!
これからも楽しみに読みにまいりま~す!
Posted by: tamami | June 26, 2005 at 02:12 PM
コメントありがとうございます~
そっか、tamamiさんのだんなさんは、大学の先生とかそういう類の職業をなさっているんですね。それでtamamiさんが一家の大黒柱だったこともあるんだ。すごいなー。
で、少子化問題。tamamiさんお書きになったらぜひ教えてねー。もちろん、こちらからもちょくちょく読みに行きますね。
それにしても出生率、きっとこれからもあんまりは上がらないですよねえ。いや、なんとなく。だから、少子化対策ってのは、出生率をあげるためのものよりも、きっと子どもがばんばん生まれる時代なんてこないよ、っていうのを前提とした制度づくりに力を入れるべきではないかなあと思っています。少ない子どもを育てやすくするための施策。そういうものができれば、自ずと出生率もあがってくるのではないかと考えるのですが。
Posted by: おひまだこ | June 28, 2005 at 01:33 AM